抄録
本研究は,南西諸島の海岸景観の保全に資するためにその特質を明らかにすることを目的とし,南西諸島の5か所の砂浜海岸で海辺に至る歩行過程における来訪者の視点から見たシークエンス景観を,景観構成要素の面積割合変化に着目して解析した.これらの海岸では,歩行に伴って各構成要素の面積割合に大きな変化が見られた.歩行経路の始めのうちは主に植物や崖によって海面や砂浜,空が来訪者の視野から遮蔽されていたが,その後それらの面積割合が大きく拡大する地点があった.海面の左右を囲む岩が存在する海辺では,これらの岩によるシンメトリーなヴィスタ景が形成されていた.