2022 年 22 巻 9 号 p. 433-441
洗浄の速度論は,一次反応式をベースにするものなどが提案されてきたが,近年確率密度関数法という新たな手法が開発された。これは汚れの付着力と洗浄力の双方が正規分布に従うという仮定の下,洗浄力分布の標準偏差と平均値の2つのパラメータで洗浄力を表すものである。これまでの研究で洗浄力と洗浄率とを関連付けることによって洗浄率の予測を可能とすることが認められた。パラメータσrlは洗浄メカニズムに関連し,その推定に使えることも分かった。もう一つのパラメータµrlは洗浄力に直接関連するパラメータであるが,ある洗浄条件を変えた場合の差分Δµrlを用いると2つの洗浄要素間の相互作用が相加効果,相乗効果,相殺効果のいずれであるかを判定することができる。洗浄分野を含む広い範囲で応用可能な分析ツールになり得ると考えられる。