オレオサイエンス
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受賞論文
食品素材の「ナノサイズ」カプセル化技術の開発
高橋 誠
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2008 年 8 巻 4 号 p. 151-157

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抄録

新しいタイプの機能性食品の開発を目的として, 食品用リン脂質 (レシチン) を用いて, 秋ウコン抽出エキスを含有するナノカプセル (NUE) の調製を検討した。その結果, メカノケミカル法の活用により, ナノカプセルの粒子径および粒径分布の制御が容易に可能であることを見出した。得られたNUEは, 一枚膜リボソームで粒径分布も小さく (114 nm±49), クルクミンに対して非常に高い封入率 (85%以上) を示した。また, NUEの消化液に対する耐性を調べたところ, コントロール (秋ウコン抽出エキスのみ) に比ベクルクミンの残存率が2倍以上であり, ナノカプセル化による食品成分の保護効果が確認された。さらに, NUEの経口投与による急性肝障害マウスの肝障害抑制作用を検討したところ, コントロール群に比べ1/3以下のエキス量でも有意な抑制作用を認め, ナノカプセル化によって食品機能も大きく向上することが判った。さらに, そのメカニズムを検証するため, クルクミンのみを含有するナノカプセル (NEC) を調製し, ラットにおける腸管吸収への影響を調べた。その結果, 経口投与後, コントロールに比べて血漿中のクルクミン濃度が有意に上昇しており, ナノカプセル化によって食品成分の腸管吸収が促進されるため, その有効性が向上することを見出した。

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© 2008 公益社団法人 日本油化学会
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