日本温泉気候物理医学会雑誌
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原著
東京都 23 区内の温泉と期待される温泉医学的効果
前田 眞治市川 勝原 麻理子櫻井 好美平野 絵美小暮 英輔山本 潤
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2011 年 74 巻 4 号 p. 246-255

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抄録

温泉地とは認識されていない東京都23区内64の源泉を調査し、その温泉成分と医学的効果について考察した。
 東京都内の源泉の分布は、23区内中20区の都内随所から湧出し、我が国の中でも高密度の地域であった。また大深度掘削による温泉を中心に温泉療法に有用な高濃度の温泉成分や高い泉温の温泉が多くの源泉で確認できた。東京都内の温泉の泉質はナトリウム—塩化物泉、ナトリウム-炭酸水素塩泉とメタケイ酸を多く含む温泉に分類できる。ナトリウム-塩化物·強塩泉は大深度掘削に認められ、都内の随所に存在した。ナトリウム—炭酸水素塩泉は中程度以下の深度掘削に多く、大田区に集っていた。またメタケイ酸は浅い深度の掘削で大田区に多く認められた。
 医学的効果として温熱効果を期待するならナトリウム-塩化物·強塩泉、皮膚の清浄作用を期待するならナトリウム-炭酸水素塩泉、皮膚の角質増殖効果を期待するならメタケイ酸を多く含んだ温泉を活用することで、東京の温泉は充分温泉医学的に有用で、かつ大いに健康増進に活用できる温泉であると結論された。

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© 2011 日本温泉気候物理医学会
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