日本温泉気候物理医学会雑誌
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オクチルフタライド浴の末梢循環に及ぼす影響
萬 秀憲大川 渡佐藤 広隆森 忍須藤 恭代
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1994 年 57 巻 4 号 p. 251-258

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抄録

オクチルフタライドを用いた入浴の末梢循環動態に及ぼす影響について, ヒト前腕皮膚血流量, ヒト全身浴後の皮膚温, 並びにウサギ皮下組織流量と皮下組織ガス分圧について検討した。
レーザードップラー血流計を用いて測定したヒト前腕皮膚血流量は, オクチルフタライドの浴水中濃度が3ppm以上の場合, 有意に増加した。
40℃5分間入浴後のサーモグラフィーによる入浴後の皮膚温は, 対照浴に比べ, オクチルフタライド浴の方が有意に高く維持されていた。
ウサギ皮下組織流量と組織ガス分圧は, 医用質量分析装置を用いて測定した。組織流量は, 対照浴に比べ, オクチルフタライド浴で有意に高かったが, 皮下組織酸素分圧, 二酸化炭素分圧には変化が認められなかった。
これらの結果は, オクチルフタライド浴が末梢循環の改善に有用であることを示唆している。

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