日本温泉気候物理医学会雑誌
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気管支喘息患者の免疫アレルギー系に対する温泉療法の臨床効果
光延 文裕御舩 尚志梶本 和宏横田 聡貴谷 光谷崎 勝朗越智 浩二原田 英雄
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1995 年 58 巻 3 号 p. 180-186

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抄録

気管支喘息12例を対象として, 1-3ヶ月間の温泉療法の免疫アレルギー系に対する影響を検討した。免疫アレルギー検査としては, 血清IgE値, 特異的IgE抗体, 液性免疫: 血清免疫グロブリン (IgG, IgA, IgM), 血清補体: C3, C5, 細胞性免疫: カンジダ, PPDに対する遅延型皮膚反応, リンパ球のCD4, CD8, CD4/CD8, CD23陽性細胞の出現頻度などについて, 治療前後の比較検討を行った。
1. 温泉療法後には血清IgG値は有意に減少する傾向が見られた。血清IgA値はやや上昇する傾向が見られたが, 有意差は見られなかった。血清IgM値は温泉療法前後での変動はほとんど見られなかった。また血清IgE値, 特異的IgE抗体価においても温泉療法前後での変化は見られなかった。
2. 温泉療法によって, 細胞性免疫能の亢進 (遅延型皮膚反応の陽性率の増加), CD4陽性リンパ球の増加, CD8陽性リンパ球の減少, CD4/CD8比の有意の上昇, CD23陽性リンパ球の有意の減少が観察された。
3. 血清補体価は温泉療法前後での変動はほとんど見られなかった。

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