努力肺活量 (%FVC) が80%未満の36名の気管支喘息患者を対象として, 温泉療法の効果を臨床病型別に検討した。
1. II型の喘息患者においては, 血清コルチゾール値は他の臨床病型に比べて最も低値であり, 気管支肺胞洗浄液中の好中球の出現頻度が他の臨床病型に比べて有意に高値を示した。
2. 温泉療法前の努力肺活量 (%FVC) は, II型の喘息患者においてはIa-1型 (p<0.001) とIa-2型 (p<0.05) のそれに比べて有意に低値を示した。
3. すべての臨床病型において, 温泉療法前の低値を示した努力肺活量 (%FVC) は温泉療法によって改善を示した。Ia-1型 (p<0.001) とIb型 (p<0.05) において有意差が見られた。
4. 今回対象とした症例では, すべての病型において1秒率の明らかな改善は認められなかった。
以上のことから温泉療法は, 気道炎症が病態に関与していると考えられているIb型 (過分泌型) とII型 (細気管支閉塞型) の低下した努力肺活量 (%FVC) を改善することが示唆された。