1996 年 59 巻 4 号 p. 243-250
気管支攣縮型喘息患者33例 (24例は温泉療法有効, 9例は無効) を対象に, 温泉療法の臨床効果を, 年齢, 発症年齢, 1型アレルギー反応 (血清IgE値及び特異的IgE), %PEFR, BAL液中細胞成分, ヒスタミンおよびLTC4遊離, 気道過敏性, 血清コルチゾール値との関連で, 評価し検討を加えた。
1. 平均年齢および平均発症年齢は, 温泉療法無効例よりも有効例の方が高かった。
2. %PEFR値は, RAST陰性かつ温泉療法無効の患者において低かったが, RAST陽性で温泉療法無効の患者では, %PEFR値の低下はなかった。
3. BAL中リンパ球比率は, RASTの有無に関わらず無効例において減少していた。それに対して, BAL中好酸球比率は, 無効例において増加する傾向がみられた。
4. ヒスタミンおよびLTC4の遊離は, 温泉療法有効例よりも, 無効例の方が大きかった。
5. 血清コルチゾール値は, 有効例に比べて, 無効例において低かった。
6. ハウスダストのRAST陽性例では, メサコリン閾値濃度は, 無効例よりも有効例の方が高かった。RAST陰性例では, 閾値濃度は温泉療法の臨床効果とは関連がなかった。
以上の結果より, 温泉療法は, I型アレルギー反応による気道過敏性のある患者には, 有効ではないことが示された。