日本温泉気候物理医学会雑誌
Online ISSN : 1884-3697
Print ISSN : 0029-0343
ISSN-L : 0029-0343
ラズベリーケトン浴の皮膚血流量、内分泌系に与える影響
前田 真治齋藤 雅人池本 毅
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 67 巻 4 号 p. 215-224

詳細
抄録

代謝活性によりエネルギー消費が高まるといわれるラズベリーケトン温浴の効果の科学的根拠について健常成人10名を対象に入浴実験を行い検証した。
その結果、血圧、脈拍、深部体温計などの測定値は水道水や炭酸温水と差はなく、心血管系に対する負荷は大きくなく、安全に入浴できるものと考えられた。また、表面皮膚温の経過からは体温を緩徐に上昇し、水道水温水や炭酸温水と比べ、比較的長時間入浴しても身体に対する負担が少ないものと思われた。皮膚組織血流量の結果から、ラズベリーケトン浴の温水の血流量増加は炭酸温水のような血管拡張作用とは異なり、例えば代謝亢進などの機序による血流量の増加が示唆された。インスリンの結果から糖代謝に対する影響が水道水や炭酸温水に比べあると思われた。しかし、副腎皮質系のコルチゾールの変化に差はなく、特異的な作用はないものと考えられた。NK細胞活性の結果からは、免疫系への大きな影響がないことがわかった。β-エンドルフィンについては心理的周辺環境を整えた後に行うべきであることが示唆された。呼気ガス分析の結果からも同様に、炭酸温水の心循環器系への関連はあるものの、ラズベリーケトン温水浴では大きな負担を掛けずに代謝系の亢進を介してエネルギー消費するものと考えられた。

著者関連情報
© 日本温泉気候物理医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top