2007 年 70 巻 3 号 p. 143-154
本研究は、ホワイトカラーとブルーカラー男性を対象として、温泉入浴及び家庭での入浴の頻度と、身体特性、血液性状、ライフスタイルとの関連を明らかにすることを目的とした。
対象者は、島根県内と長野県内における2箇所の2つのランダム化比較試験のベースラインのデータを用いた。2006年10月の期間に、ホワイトカラーとして、島根県雲南市役所内の30-57歳までの男性職員 (N=311) 中、43名の希望者があった。同様にブルーラカーとして、2006年12月に、長野県の地方新聞による広報記事や地域の主要な企業における広報誌等で公募を行った結果、44名の希望者があった。ホワイトカラーとブルーカラー合計して、87名の男性が対象となった。
評価項目は、体格 (身長、体重、BMI、ウエスト周径囲、ヒップ周径囲、体脂肪率)、体力 (握力、腹筋力、背筋力、座位体前屈)、血液性状 (血清グルコース, ヘモグロビンA1c、フルクトサミン、乳酸、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、遊離脂肪酸、GOT、GPT、γ-GTP、コリンエステラーゼ、ナチュラルキラー細胞活性、T細胞、B細胞、CD4+、CD8+、CD4/8、尿酸)、精神心理状況 (POMS)、ライフスタイル (1ヶ月間当たりの温泉入浴回数、1ヶ月間当たりの家庭での入浴回数など) であった。
ホワイトカラーとブルーカラーの男性において、温泉の月あたりの利用頻度と健康指標との間に関連性は見られなかった。月あたりの利用家庭での入浴頻度と有意 (p<0.05) に関連のあった項目は、GOT、CD8+で、精神的ストレスで、入浴回数が少ないほど高値だった。
本研究の結果では、温泉入浴の1ヶ月間あたりの頻度と健康指標との間に関連性は見られなかった。