音声研究
Online ISSN : 2189-5961
Print ISSN : 1342-8675
特集「調音音声学: 日本語を中心に」
母音と子音の下顎運動への影響の数量化 : 日本語を通して(<特集>調音音声学 : 日本語を中心に)
Shigeto KAWAHARAHinako MASUDADonna ERICKSONJeff MOOREAtsuo SUEMITSUYoshiho SHIBUYA
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2014 年 18 巻 2 号 p. 54-62

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抄録

本研究では,日本語の下顎の開き具合がどのような音声要因によって決定されるかを検証した。EMAを用いた調音実験を用い,日本語話者の様々なCVモーラの発音時の顎の動きを測定した。結果として,母音では/a/>/e/>/o/>/i/>/u/という順番で顎の開きが大きいことが判明した。この結果から母音の高さ,前後性ともに顎の動きに影響するという結論を得た。顎の動きの大きさを,過去の日本語の音響研究と照合すると,F1と多少の相関があるが,母音長と最も強く相関することがわかった。また子音による顎の動きの阻害(inhibition)も観察された。子音による阻害は舌先音(coronal)でもっとも強く見られ,これは他の同時調音(coarticulation)に関する実験とも整合性がある。

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© 2014 日本音声学会
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