帯広大谷短期大学紀要
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ウルチ米デンプン中の結合脂質について
間野 康男
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1974 年 11 巻 p. A21-A29

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抄録

1.米デンプン中の脂質含量は,エーテル抽出性のものが0.88%,また含水ブタノール抽出性のものが0.68%,両方合わせて1.56%であった。2.中性脂質と極性脂質の比率は,エーテル抽出性のもので80:20,また含水ブタノール抽出性のもので55:45であった。3. 2つの脂質料のうち主なものは,リゾレシチン,トリグリセリド,遊離脂肪酸およびレシチンなどであり,リゾンシチンと遊離脂肪酸が多く含まれていることは,小麦デンプンと同様であった。4.レシチンとケファリンは,ジグリセリドを基質として生合成される一方,リゾレシチンはα-アシル型とβ-アシル型との混合物として存在するものと考えられる。5.これらの脂質を構成する脂肪酸は,多い順からリノール酸,パルミチン酸およびオレイン酸であった。これは白米脂質の脂肪酸パターンと類似であり,白米胚乳脂質がデンプン粒中へ移行することを示唆するものであろう。本研究は昭和48年度北海道科学研究補助金の交付を得て行ない,その主要部分を昭和48年度日本澱粉学会大会において発表した。この研究を通じて終始御懇切な御指導を賜わった帯広畜産大学藤野安彦教授はじめ食品化学教室の諸先生,ならびに試料米を御恵送下さった北海道立中央農業試験場稲作部に深甚なる謝意を表する。

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© 1974 帯広大谷短期大学
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