2009 年 46 巻 p. 11-16
社会福祉領域において障害当事者や社会福祉実践家らがもつ経験の価値を見つめなおす立場から,かつて「『精神障害者』が仲間に語りかける雑誌」として公刊された『爽風』に表された当事者らの思いについて質的に分析し,彼らが語ったものとは何だったのか,その全体像を明らかにした.それは,同じ病を持つ仲間の存在の重さや,障害当事者,専門家,家族,地域住民といった立場を超えて,ともに生きる存在としてその地平を同じくすることを強く望む声であった.このことは現在も変わらぬ,障害当事者らが自らの経験から得た知恵であり願いでもある