帯広大谷短期大学紀要
Online ISSN : 2424-1881
Print ISSN : 0286-7354
ISSN-L : 0286-7354
論文
特別養護老人ホーム入所に関わるアカウンタビリティーとアドボカシー
佐藤 英晶
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 47 巻 p. 1-10

詳細
抄録

2000年4月より施行された介護保険制度では、福祉サービスの提供が行政処分としての「措置」から「契約」に基づくサービス利用へとサービス供給の基本的枠組みを大きく変更した。社会福祉基礎構造改革を中心とした福祉「改革」のなかで、高齢者福祉サービスの供給システムの民活化(privatization)が進められ、営利法人を含む多様なサービス供給主体による福祉多元化が押し進められていった。また介護保険制度開始に合わせ、いわゆる「新しい成年後見制度」が開始され、福祉サービス利用について家族の支援が期待できない判断能力の不十分な高齢者が契約締結できず、福祉サービス利用に支障を来たすことがないよう配慮された。しかし、福祉サービスの利用までの過程には、判断能力の問題以外にも事業者と利用者の福祉サービス利用に関する「格差」がある。そのため、特別養護老人ホームの入所を巡る事業者と利用者の専門知識等の非対称性の存在と、それによって求められるアカウンタビリティーやアドボカシーを実現する仕組みの必要性が明らかになった。

著者関連情報
© 2010 帯広大谷短期大学
次の記事
feedback
Top