2018 年 55 巻 p. 35-43
本研究では、総合的表現活動により保育者養成課程の学生が「何を学ぶか」を明らかにするため、地域の乳幼児のためのコンサートへ出演した1年次の学生及びコンサートへの来場者を対象に、質問紙調査を行った。その結果、舞台出演経験を通して学生が最も向上を感じたのは、「表現活動に関する知識・技能」、次いで「表現活動に関する感性」であった。表現活動における4領域(音楽・造形・言語・身体)の中では、「身体表現」能力向上を強く感じる傾向が表れた。
また、「保育士の専門性」として養成課程での成長が期待される「基礎力」、「態度」、「知識・技能」の三点においても学びの深まりが見られた。保育者としての「将来への応用」の観点では、全ての学生が、コンサートへの出演を「役立つ」と意欲的に捉えていた。更に、総合的表現活動の発表経験が、子どもや保護者といった「客観的な視線」で自らを振り返る契機となると同時に、今後の学修に対する動機づけの面でも有効性を示すことが明らかとなった。