耳鼻咽喉科展望
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臨床
咽後膿瘍により心肺停止したが救命し得た1症例
吉福 孝介永野 広海黒野 祐一
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2008 年 51 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

咽後膿瘍により心肺停止したが, 幸いに救命し得た1症例を経験したので報告する。症例は57歳男性である。2007年9月4日から発熱, 咽頭痛が出現し, 9月5日近医耳鼻咽喉科を受診し, 扁桃周囲炎の診断のもとにLevofloxacin (LVFX) (300mg/day) を処方された。しかし, その翌日, 咽頭痛がさらに増悪し嚥下時痛も伴ったため, 9月6日当科紹介受診となった。左扁桃周囲膿瘍 (下極型) から波及した左喉頭浮腫と診断し, 即時膿瘍扁桃摘出術の準備をすすめたが, 2時間後心肺停止状態となった。ただちに経口挿管し心肺蘇生術を施行したところ心機能の改善を認めた。CTにて, 左扁桃周囲膿瘍に加えて咽後膿瘍の合併が確認された。同日, 下気管切開術を行ったのち, 左膿瘍扁桃摘出および咽後膿瘍切開排膿術を施行し, 経過良好にて術後23日目に退院した。本症例ではCT検査後に初めて咽後膿瘍と診断し得た。下極型扁桃周囲膿瘍では, 急性喉頭蓋炎や咽後膿瘍などの危険な合併症を生じやすく, 気道管理に慎重な対応が求められる。後口蓋弓の腫脹した扁桃周囲膿瘍症例に対しては, 咽後膿瘍の可能性を十分念頭に置く必要性を認識した。

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