耳鼻咽喉科展望
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綜説
気道時計遺伝子発現と迷走神経による制御
久 育男板東 秀樹西尾 健志馬場 均
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2008 年 51 巻 5 号 p. 278-285

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抄録

多くの疾患の症状に日内変動が存在し, 治療上問題となることはよく知られている。我々耳鼻咽喉科医も日常臨床で夜間の咳などの症状増悪に苦しむ患者に接し対応に苦慮することも多い。近年概日リズム研究が飛躍的に進展し, 体内時計が遺伝子レベルで構築されており, またこの時計遺伝子が体内時計中枢である視交叉上核のみでなく全身の細胞に発現していることが明らかとなってきた。また, 臨床医学では症状発現の時間や細胞分裂の日内変動などを考慮に入れた投薬を行うクロノテラピーの重要性が認識されつつある。このような背景から我々は喉頭をはじめとする気道における時計遺伝子の発現を調べ, 機能を解明することが気道疾患治療の発展において今後重要となると考え, 気道時計の基礎研究に着手した。本稿では主にこれまでの我々の研究成果について紹介する。

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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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