耳鼻咽喉科展望
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第31回 日本医用エアロゾル研究会
気管支喘息患者のDry powder型ステロイド薬吸入におけるSalmeterol気道吸入と貼布型Tulobuterol使用による喘息症状改善効果
西澤 芳男西澤 恭子吉岡 二三谷垣 由美子村嶋 照子永野 富美代山田 まゆみ安田 理絵川田 陽子平田 弥生野坂 修一雨森 保憲天方 義邦伏木 信次
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2008 年 51 巻 Supplement 号 p. s3-s10

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抄録

今日, 吸入ステロイド薬が各国喘息ガイドラインで治療薬とされている。吸入ステロイド薬併用下, 長時間型β2受容体刺激薬のツロブテロール貼布薬とサルメテロール吸入療法のいずれが気管支喘息症状改善, 呼吸機能改善, 気道炎症改善, 医療経済上有効かを2年間前向き無作為抽出オープン比較で検討した。インフォームドコンセントを得, 520例を無作為2群化し, 一方にツロブテロール貼布薬 (n=260) 就寝前2mg貼布, 他方にサルメテロール (n=260) 朝夕吸入療法を施行した。喘息自他覚症状, 呼吸機能, 気道炎症, 気道改築, 医療費, 副作用, 臨床検査異常値, 慢性難治性疾患の苦痛即ち慢性疼痛, 健康関連生活の質改善, 使用薬剤量減少度など有用度患者評価で判定した。背景因子に有意差はなく, ツロブテロール貼布薬群は, サルメテロール群に比較して喘息自他覚症状, 呼吸機能, 気道炎症, 気道改築, 医療費, 副作用, 臨床検査異常値が有意に少なく, 各種有用度患者評価で優れていた。従来の研究では両者間で健康関連生活の質以外の有意差はなしと考えられていたが, これは3ヵ月という短期間検討のためであることがわかった。

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© 2008 耳鼻咽喉科展望会
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