耳鼻咽喉科展望
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頭蓋底浸潤を認める頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線治療
長谷川 安都佐溝江 純悦神宮 啓一
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2009 年 52 巻 3 号 p. 176-181

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抄録

1997年4月から2007年2月まで炭素イオン線治療を行った, 頭蓋底浸潤を認める93例について報告する。93例の内訳は, 男性51例, 女性42例, 年齢は23~78歳 (平均55.4歳) であった。病理組織別では, 腺様嚢胞癌43例, 悪性黒色腫23例, 腺癌22例, その他5例であった。正常組織反応は, 早期有害事象では, Grade 3の皮膚および粘膜反応がそれぞれ4%と10%に見られたが, 遅発性有害事象では, 皮膚および粘膜反応はGrade 2以下であった。また, それ以外の重篤な副作用は発生していない。
93例の5年局所制御率は73%, 5年累積生存率は39%であり, これまで光子線による放射線治療で制御困難であった局所進行型非扁平上皮癌に対して, 良好な治療効果が得られている。

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© 2009 耳鼻咽喉科展望会
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