最近開発されたキノロン系抗菌薬, ガレノキサシンの臨床効果とその効果発現の速さについて, 16歳以上の上気道感染症患者 (急性副鼻腔炎32例, 慢性副鼻腔炎急性増悪20例, 急性扁桃炎18例) を対象に検討を行った。ガレノキサシンは1日1回400mgを7日間経口投与とし, ガレノキサシンの効果発現の速さを正しく評価するために患者日記を用い自覚症状の各項目の状態を毎日記録した。臨床効果は自覚症状と他覚所見の改善度から総合的に判定した。各疾患とも自覚症状項目のほとんどが, ガレノキサシン投与3日目で日常生活に支障のないレベルまで有意に改善し, 投与終了時の有効率は急性副鼻腔炎96.9%, 慢性副鼻腔炎急性増悪90.0%, 急性扁桃炎100%であった。副鼻腔炎のX線所見では, ガレノキサシン投与早期から改善し投与終了時の改善度は急性副鼻腔炎90.0%, 慢性副鼻腔炎急性増悪47.1%であった。急性扁桃炎の痛みの改善度は, 非ステロイド系解熱鎮痛薬 (NSAIDs) 併用の有無に関わらず速やかな改善を認めた。今回の検討でガレノキサシンは, 成人の上気道感染症に対して投与後早期から優れた治療効果をもたらすことが確認され, 難治性が予想される症例に対しては第一選択となりうる抗菌薬と考えられた。