耳鼻咽喉科展望
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臨床
インプラント治療による歯性上顎洞炎
—インプラントの取り扱いと内視鏡下鼻副鼻腔手術の役割—
佐藤 公則
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2011 年 54 巻 6 号 p. 398-405

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抄録

近年, 歯科治療に伴う歯性上顎洞炎は増加している。インプラント治療の普及に伴って, インプラント治療に伴う上顎洞炎も最近散見されるようになってきた。
本論文ではインプラント治療による歯性上顎洞炎, 特にインプラントの取り扱いと内視鏡下鼻副鼻腔手術の役割を報告する。
インプラント治療による歯性上顎洞炎 (副鼻腔炎) の病態には, インプラント治療により上顎洞炎などの歯性感染症が起こる場合と, インプラント治療を契機に他の歯の炎症性病変 (根尖病巣) が上顎洞炎などの歯性感染症を引き起こす場合があると考えられた。
インプラント治療は高額な保険外歯科治療であり無用のトラブルを避けるためにも, 我々耳鼻咽喉科医は患者に対する説明, 既に埋入されているインプラントの取り扱いに配慮が必要である。
インプラント治療による難治性歯性上顎洞炎に対しては, インプラント体あるいはMaxillary Sinus Augmentation (上顎洞底挙上術) に用いた骨充填剤の抜去が必要なのかは結論が得られていない。インプラントによる難治性上顎洞炎に対する治療選択肢の1つとして, 内視鏡下鼻副鼻腔手術が果たす役割は大きいと考える。

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