耳鼻咽喉科展望
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第34回 日本医用エアロゾル研究会
エアロゾル療法有効性の検証
—実地臨床における問題点と工夫—
福岩 達哉
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2011 年 54 巻 Supplement1 号 p. s27-s32

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抄録

今回実地臨床における問題点を列挙し, 当院における対策と工夫点について検討した。当院は鹿児島県南さつま市で平成20年11月に新規開院した診療所であるが, 「プライバシー保護への配慮」を目標として, 個別化された治療ブースにてエアロゾル療法を施行している。
治療機器の感染対策として, 水道水での一次洗浄, 次亜塩素酸ナトリウムによる浸漬消毒, 食器乾燥器を利用しての十分な乾燥を行っている。また薬液の作り置きは機器感染の原因となるため, 当日朝・診療前に薬液調合を行い1日の業務終了後に残薬をすべて破棄している。
余剰エアロゾルによる環境汚染問題, 特に治療ブースに常駐するスタッフや患者への薬剤過剰摂取の危険性を考慮して, その対策として排気ダクトシステムを導入している。
ネブライザー機器と生体の接触部分であるノーズピースに関する検討を行うため, その材質と使用感に関する患者アンケート調査を実施した。シリコン製ノーズピースの評価が高かったが, ガラス製ノーズピースよりも密着度が低いため, Toynbee法に準じた嚥下運動の併用を指導することが重要と考えられた。
これらの工夫点により, 実地臨床におけるエアロゾル療法の効果をより高めることが期待される。

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