耳鼻咽喉科展望
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第35回 日本医用エアロゾル研究会
改良を加えた鼻用携帯型メッシュ式ネブライザー装置による鼻アレルギー療法
大木 幹文山口 宗太大久保 はるか石井 祥子櫻井 秀一郎久保田 俊輝大越 俊夫
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2012 年 55 巻 Supplement1 号 p. s44-s48

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抄録

鼻アレルギーの局所療法の主体は定量噴霧器による点鼻療法と考えられる。日常診療ではネブライザーによる局所治療も一般に実施されてきたが, 最近下気道用に小型化された, メッシュ式ネブライザー装置は安定した粒子径を維持できる。鼻疾患の治療には, 鼻腔内に効率的に吸着させる器械に改良する必要性を生じる。そこで, 薬事承認の範囲内で適切なデバイスと吸入法を作成し実際の鼻アレルギーの治療に貢献するか検討した。
対象としたのは中等症以上のスギ花粉症患者12名である。これらの患者にたいし, 市販のロブメディカル製改良型メッシュ式ネブライザー装置を用いて自宅で吸入させた。次のように分けて検討した。ブデソニド0.5mg/ml 2週間間歇型にて使用, その後0.5mg連続型2週間使用をA群, 逆に先に0.5mgを先に2週間連続型使用, その後2週間間歇型使用群をB群, さらに, 0.25mgと薬液濃度を間歇型で使用し後半2週間は0.5mg連続型を使用したものをC群とした。
3群ともほぼ同様な鼻腔抵抗の低下を認めたが, 使用2週間後の比較では鼻腔抵抗の低下に有意差を認めなかった。自覚症状においても, 2週間後には低下を認め, 改善傾向を示した。間歇型装置ではブデソニド吸入液濃度を半量にしても効果に有意差はなく, 鼻疾患の治療には間歇型のメッシュ式ネブライザー装置が有益と思われた。

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