耳鼻咽喉科展望
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臨床
スギ花粉症の初期療法におけるオロパタジン塩酸塩の投与法に関する検討
北村 剛一大塚 康司清水 雅明矢富 正徳鈴木 衞
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2013 年 56 巻 4 号 p. 189-198

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抄録

スギ花粉症の患者は年々増加傾向にあり, 鼻アレルギー診療ガイドライン (2009年度版) では, 初期療法が推奨されている。初期療法の患者の満足度は高いが, 不満な患者も存在する。その理由としては, 眠気などの副作用や飛散後と同量の内服用量の必要性やコストに対する不満が挙げられる。そのため, 初期療法には, 花粉飛散数の予想に合わせて花粉飛散期の効果が期待でき, 副作用が少ない治療薬の選択と投与法を考慮することが重要である。今回我々は, 速やかな効果が期待できる第2世代抗ヒスタミン薬のオロパタジン塩酸塩を用い, その初期療法の投与法 (半量投与と通常量投与) とその臨床効果と患者のQOLを比較検討し, 飛散後投与との治療効果およびQOLにつき検討した。
患者日誌による鼻症状と眼症状の評価では, 初期療法の半量群は, 初期療法の通常量群に比べても同等に症状を抑制した。また, 日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票 (JRQLQ) を用いた患者のQOLの評価でも, 初期療法の半量群は, 花粉飛散期を通しても通常量の初期療法と同等の効果があり, 飛散後治療群に比べても患者のQOLの改善に寄与し, その非劣等性が示された。
2010年はスギ花粉の少量飛散年であったが, オロパタジン塩酸塩の半量投与の初期療法は花粉飛散期の症状を抑制し, 安価で投与回数も少なく, 今後患者が期待する初期療法になりうると思われた。

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