耳鼻咽喉科展望
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学会関係【第14回 耳鼻咽喉科手術支援システム・ナビ研究会】
本邦における経口腔ロボット支援手術の現状と問題点
伊藤 博之清水 顕鈴木 衞船戸 宣利勝部 泰彰
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2013 年 56 巻 5 号 p. 323-326

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抄録

 2011年8月より daVinci サージカルシステムによる経口腔ロボット支援手術 (Transoral robotic surgery: TORS) の臨床応用を開始し, 中咽頭腫瘍7症例に対して施行した。本邦では薬事承認の問題のため, アメリカですでに数千例に対し行われている経口腔ロボット支援手術と比べていろいろな規制がある。本邦で経口腔ロボット支援手術を施行する際に使用する鉗子は腹腔手術用の8mmの鉗子であるため, 他国で使用している5mmの鉗子と比べて咽頭内に挿入した時の自由度に違いがある。しかしながら, 当院の初期経験により現在使用可能な機材を工夫し, 症例を選定すれば経口腔ロボット支援手術を遂行できることがわかった。当院で行った症例において経口腔ロボット支援手術が有用であった点は, 7自由度で鉗子操作ができること, multiple hand surgery ができることであった。これらの利点により経口腔ロボット支援手術は従来法より確実な腫瘍切除が可能であることが示唆された。

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