耳鼻咽喉科展望
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筑波大学耳鼻咽喉科 原 晃教授就任十周年記念論文集
小細胞癌症例
西村 文吾吉村 知倫芦澤 圭中山 雅博廣瀬 由紀星野 朝文上前泊 功田渕 経司大久保 英樹和田 哲郎原 晃
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2013 年 56 巻 Supplement1 号 p. s69-s72

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抄録

1994年から2011年までに筑波大学附属病院耳鼻咽喉科で経験した頭頸部原発の小細胞癌について検討を加え報告する。症例は8例で, 平均年齢は63歳 (32~81歳), 男性6例, 女性2例であった。原発部位は, 鼻腔2例, 上顎洞1例, 篩骨洞1例, 上咽頭1例, 喉頭2例, 耳下腺1例であった。8例中6例がT4もしくはN2以上の進行癌 (stage IV) で, 鼻腔の1例と喉頭の1例がT2N0M0のstage IIであった。診断確定には病理組織検査による免疫染色が有用であった。治療法は肺小細胞癌に準じたCDDP, VP16による化学療法と放射線療法が中心で, 手術治療が行われたのは2例であった。4例が8~49ヵ月で原病死, 1例が2ヵ月で他病死, 1例が4ヵ月間担癌生存, 喉頭と鼻腔のstage IIの2例がそれぞれ64ヵ月間と66ヵ月間無病生存している。原病死症例は最終的には全例に遠隔転移をみとめた。治療法の確立していない現段階では, 病変の早期発見, 早期診断, 早期治療が予後の改善に必要であり, より有効な治療法の確立が望まれる。

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© 2013 耳鼻咽喉科展望会
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