耳鼻咽喉科展望
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臨床
頭部外傷後に呼吸苦を来たした咽頭後間隙血腫の1例
遠藤 朝則鈴木 香一ノ瀬 沙和子浅香 大也小島 博己
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2015 年 58 巻 4 号 p. 198-203

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抄録

 頭部外傷後に呼吸苦を来たした咽頭後間隙血腫の1例を報告する。 症例は82歳の男性で, 自宅で転倒して前額部を打撲し, 前医の頭部 CT 所見で明らかな異常を認めなかった。 抗血小板薬を内服していることから当院へ紹介受診となった。 頭部外傷後から第1病日目に呼吸苦が増悪し, 喉頭ファイバー所見にて咽頭後壁の腫脹を認め, 頸部 CT 所見にて咽頭後間隙に血腫を認めた。 気道閉塞の可能性を考慮して気管切開を施行した。 血腫は術後に自然軽快し, 術後10ヵ月の時点において, 経過良好である。
 咽頭後間隙血腫は, 気道閉塞をきたす可能性のある気道緊急疾患で, 適切な気道確保が必要であり, 高齢者に多い疾患であるため ADL の低下を来たさない対応が必要であると考えた。

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