2017 年 60 巻 1 号 p. 29-33
Lemierre 症候群は咽頭や口腔感染症に続発して内頸静脈の血栓性静脈炎を形成し, 敗血症や全身の遠隔臓器膿瘍を引き起こす全身感染症である。 近年では非常に稀な疾患とされるが, 国内での報告例は増えている。 今回われわれは扁桃周囲膿瘍で発症し, 頸椎前部膿瘍・血栓性肺塞栓・膿胸・DIC をきたし, Lemierre 症候群と考えられた Fusobacterium necrophorum 敗血症の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する。