耳鼻咽喉科展望
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臨床
後部篩骨洞の生検により診断し得た小児ランゲルハンス細胞組織球症の1例
後藤 一貴金谷 洋明今野 渉深美 悟平林 秀樹春名 眞一
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2017 年 60 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

 ランゲルハンス細胞組織球症 (Langerhans' cell histiocytosis: LCH) は, 骨髄に由来する抗原提示細胞の一つであるランゲルハンス細胞の単クローン性浸潤・増殖を特徴とする疾患である。 病変は, 骨, 皮膚, リンパ節, 軟部組織など様々な臓器におよぶ。 中でも骨病変は最も多く, 特に頭蓋骨, 大腿骨, 脊椎骨などに好発する。

 今回, 左眼球突出を主訴とし MRI にて左後部篩骨洞~眼窩上に病変を認めた8歳男児の症例を経験した。 全身麻酔下に後部篩骨洞より生検を行いランゲルハンス細胞組織球症と診断した。 精査の結果, 第11胸椎にも病変を認めたため単臓器多病変型と診断した。 JAPAN LCH STUDY GROUP のプロトコールに従って多剤併用化学療法を施行し, 寛解した。 治療後10年が経過したが, 再発再燃を認めていない。 耳鼻咽喉科領域では側頭骨病変による LCH の報告が多いが, 鼻副鼻腔にも病変をきたすことがあるので, 鑑別疾患として念頭におく必要がある。

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