2018 年 61 巻 1 号 p. 24-28
低汗性外胚葉形成不全症は汗腺・毛髪・歯牙の形成異常を3主徴とする先天性疾患である。 毛髪や歯牙の異常を契機として発見されるため, 幼児期以降に診断されることが多く, 乳児期に診断することは困難であることが多い。 今回, われわれは乳児期の萎縮性鼻炎から診断に至った乳児例2例を経験した。
2症例ともに生後1ヵ月前後から鼻腔からの悪臭を認めていた。 鼻内は固い痂皮が付着しており, 萎縮性鼻炎の状態を呈していた。 外胚葉形成不全を疑い, 各種検査を施行し早期診断に至った。 治療の原則は対症療法ではあるが, 乳児期の鼻呼吸は成長発達において重要な役割を担うため, 早期からの耳鼻咽喉科医の介入は QOL 向上のために非常に有意義である。 萎縮性鼻炎の鑑別として, 多発血管炎性肉芽腫症や NK/T 細胞性リンパ腫, 放射線治療後後遺症などが耳鼻咽喉科医には知られているが, 乳児期においては本疾患が鑑別疾患の一つとなり得る。