耳鼻咽喉科展望
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臨床
気管切開を要した粘膜性類天疱瘡の1例
山口 航露無 松里弦本 惟郎中島 庸也
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2018 年 61 巻 3 号 p. 157-161

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抄録

 粘膜性類天疱瘡は表皮基底膜部抗原に対する自己抗体により, 表皮下水疱やびらん性病変が粘膜優位に生じる自己免疫性水疱症の一つである。 主に口腔, 眼粘膜にびらん性病変を生じ, 鼻腔, 喉頭, 食道, 外陰部などの粘膜障害も起こすことが知られている。 今回, 重度の喉頭狭窄に対して気管切開を要した粘膜性類天疱瘡の1例を経験したので報告する。

 症例は70歳女性で, 主訴は嗄声, 呼吸苦であった。 喉頭蓋の変形, 仮声帯の癒着に伴う喉頭狭窄を認め, 緊急気管切開を行い, 気道管理及び全身精査目的に入院となった。 喉頭以外にも眼球結膜の癒着, 鼻内粘膜, 外陰部粘膜のびらんを認め, 口腔内の病理組織学的検査にて粘膜性類天疱瘡と診断した。 気管切開術後3ヵ月を経過し喉頭狭窄は改善なく, カニューレ管理を続けている。

 粘膜性類天疱瘡による喉頭狭窄は難治性であり, 気管孔閉鎖に難渋することが多く, 今後も長期的な経過観察が必要である。

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