耳鼻咽喉科展望
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臨床
経鼻内視鏡的アプローチにより摘出した鼻副鼻腔神経鞘腫の1症例
斎藤 翔太光吉 亮人倉島 彩子高石 慎也森 恵莉飯村 慈朗浅香 大也小島 博己鴻 信義
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2018 年 61 巻 3 号 p. 162-168

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抄録

 神経鞘腫は Schwann 細胞由来の良性腫瘍で, 発生する全領域のうち, 鼻副鼻腔発生は約1%と稀な疾患である。 根治治療は手術療法で, 予後は良好とされており, 再発を繰り返すことは稀である。 今回, 経鼻内視鏡的アプローチにより, 鼻副鼻腔に発生した神経鞘腫を摘出した1例を経験したので報告する。

 症例は37歳男性で, 数年前より右鼻閉を自覚し, 前医にて右鼻腔に腫瘤性病変を指摘され, 精査加療目的に東京慈恵会医科大学附属病院耳鼻咽喉科を受診した。 当院で施行した病理組織学的検査で神経鞘腫の診断となり, 経鼻内視鏡下鼻副鼻腔手術を施行した。 術後明らかな残存病変は認めず, 神経脱落症状も認めなかった。

 神経鞘腫の頭頸部発生の大部分は聴神経由来であるが, 鼻副鼻腔発生の場合, 由来神経が同定困難な場合が多い。 根治治療は手術による摘出で, 鼻副鼻腔原発例は術後再発をほぼ認めず, 神経脱落症状も少ない。 術後再発率が少ない理由としては, 腫瘍の発生部位によりアプローチ法を吟味し, 内視鏡などのデバイスを用い適切な視野を確保することで腫瘍を被膜ごと摘出しうるためと考える。

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