耳鼻咽喉科展望
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臨床
滑落事故による穿通性頸部外傷の1例
山口 航宮村 洸輔
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キーワード: 外傷, Zone 分類, 頸部異物
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2021 年 64 巻 4 号 p. 233-239

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抄録

 穿通性の頸部外傷は稀であるが, 重要臓器の損傷により致死的な経過, 合併症が起こりうる。 今回われわれは, 滑落事故による穿通性頸部外傷の1例を経験した。

 症例は18歳, 男性。 林業中に滑落し丸太が右頸部から口腔内に貫通している状態で発見された。 救急隊到着時, 意識レベルは JCS-20, 創部からの出血および右顔面神経麻痺を認め, ドクターヘリ内で挿管され, 当院救急センターに緊急搬送となった。

 当院受診時, 右側頭部から下顎部まで裂創を認め, 持続的な出血を認めていた。 すでに事故現場で丸太は抜去されており, 創部をボスミンガーゼで圧迫し造影 CT 検査を施行し, 止血目的に緊急手術の運びとなった。 損傷された血管, 筋肉, 唾液腺実質からの出血部位を確認しすべて止血した。 口腔交通部位は, 口腔底部から頬粘膜を口腔内から吸収糸で縫合した。 術後は挿管下にて ICU 管理となり, 入院9日目に気管切開を施行し, 顔面多発骨折に対し観血的整復固定術を施行した。 術後の感染はなく経口摂取も可能となり入院33日目に退院となった。

 穿通性の頸部外傷に遭遇した際には, 気道確保および止血含め迅速な対応が必要となる。 本症例にあわせ文献的考察をふまえて報告する。

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