耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
小翼前床突起の気胞化についてのレ線的臨床的研究
高橋 良黒田 清
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 17 巻 4 号 p. 447-459,428

詳細
抄録

頭部の側面レ線撮影像、により, 小翼前床突起の気胞化像の有無程度を1,000例と, 晒頭蓋骨の29課について観察した結果をまとめると, 次のごとき種々の知見が得られた。
前床突起の気胞化像は観察例の約1/3に認められ, 蝶形骨洞の発育のよい形態のもの程前床突起の気胞化の著明なものが多く, また同時に小翼天蓋の頭蓋腔内膨隆も観察された。
前床突起の気胞化の程度と, 最後部副鼻腔の後上壁に現れることのある視神経管隆起の発現程度とは, 晒頭蓋骨では略平行関係にあることが確められたが, レ線像と手術時の観察では必ずしも一致しない結果が得られた。これは手術時の該部の観察が不充分であつたり, 蝶形骨洞と後部篩骨洞の境界に視神経管隆起が発現している際にはその確認が難しいこと, また撮影条件の不適等のため気胞化像が認め難いことがある等の理由によるものと思われる。
最後部副鼻腔の手術に際し, 手術を危険なく完遂せしめるためには, 術前のレ線像で小翼の状態, 特に前床突起の気胞化像の有無とその程度を観察することが必要で, このことにより術創の後上壁に現れることのある視神経管隆起の発現程度を知り得るので, 以上述べたことは術前是非知つておくべき知識であると考える。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top