抄録
Ameloblastomaは比較的稀な腫瘍で, 顎部腫瘍の約10%を占めるにすぎない。特に上顎に発生するものは, 下顎に発生するものよりはるかに少ない。今回我々は, 上顎に発生したameloblastomaの1例を経験したので報告する。
本腫瘍は, 男性にやや多く発生し, また, いずれの年齢層にも発生しえる。
症状や理学的所見, X線所見にはameloblastomaに特異な所見はなく, 診断は病理組織診断に頼らなければならない。
治療は, 手術がほとんど唯一の治療法であるが, 掻爬術や切除術では高率に再発するので, 上顎亜全摘あるいは全摘が必要である。上顎全摘あるいは亜全摘が行われた場合は予後はよい。