抄録
Hunt症候群症例に抗ウイルス剤であるAciclovirを用いて治療し, Aciclovir非使用例とその治療効果を比較検討した。Aciclovir使用例も非使用例も, 治療開始前の神経耳科学的所見に違いはなかった。
顔面表情筋スコアは初診から4週目の時点で, 明らかにAciclovir使用例でその改善が良好であった。また, 治療を行なったにもかかわらず, NETが発症後10~14日目にscaleoutになった症例はAciclovir非使用例で有意に多かった。
これらの結果から, AciclovirはHunt症候群の治療に有用な薬剤であると判断されるが, Aciclovir使用例ではStennert法を治療の基礎においているため, それを用いなかったAciclovir非使用例とを同等に扱うには多少問題が残り, さらに今後の検討が必要である。