中枢性の声帯外転障害の3症例を報告した。症例はオリーブ, 橋, 小脳変性症, 線条体黒質変性症, アーノルドキアリ奇形各1例である。3症例ともに気管切開術を行い, 気管Tチューブあるいはレティナで気管切開孔を管理した。3症例ともにほぼ術前と同じ程度に音声が確保された。オリーブ, 橋, 小脳変性症例では気管切開術後に嚥下障害が増悪したが, 輪状咽頭筋切断術により嚥下障害は改善した。
進行性神経疾患の耳鼻咽喉科領域の合併症を, 耳鼻咽喉科医が参加して, 関連各科の医師との協力のもとで行うシステムを作る必要がある。