1991 年 34 巻 6 号 p. 639-645
近年, びまん性汎細気管支炎に対するエリスロマイシン少量長期投与療法が確立され, その効果についても認識されるようになった。びまん性汎細気管支炎に副鼻腔炎が高率に合併していることはよく知られている事実であり, 両者の因果関係についても長年論じられてきた。一方慢性副鼻腔炎は時代とともに減少傾向をみせているが, 依然として耳鼻咽喉科領域では大きな比重を占める疾患であり, 保存的療法, 手術的療法ともに抵抗性の難治性副鼻腔炎がまだ多数見かけられる。今回難治性慢性副鼻腔炎に対し, エリスロマイシンの長期投与を試み, その効果および方法, 対象について検討した。33例の難治性慢性副鼻腔炎 (びまん性汎細気管支炎例, 滲出性中耳炎合併例も含む) に対し本治療を施行し, 著効, 有効をあわせて23例に有効であった。また長期使用にかかわらず副作用は極めて軽微かつ少なかった。