1991 年 34 巻 Supplement4 号 p. 313-330
スギ花粉症患者124例を対象としてソルファ ® 錠をスギ花粉飛散開始前予防的に投薬した群および飛散開始後発症してから投与した2群を比較して, 鼻症状, 眼症状, 鼻腔所見, 鼻汁中好酸球の経日的変動について検討した。その結果は次の通りであった。
1.鼻症状, 眼症状などの症状で花粉飛散初期から中期にかけて症状の悪化の程度が, 予防投与群において抑えられ, 予防効果がみられた。とくに, くしゃみ発作, 鼻汁量, 日常生活の支障度でその効果は顕著であった。眼症状ではそう痒感, 流涙, 充血の症状で予防効果が認められた。
2.鼻腔所見でも, 下鼻甲介の腫脹, 下鼻甲介の色調, 鼻汁の性状, 水性分泌量で, 花粉飛散初期から中期にかけて, 予防効果が認められた。
3.鼻汁中好酸球数でも, 予防投与群にはその数が有意に少なかった。
4.副作用は4例に認められた。專麻疹 (2例), 嘔吐 (1例), 口腔・咽頭乾燥感と視力異常感 (1例) であった。また, 1例に臨床検査値異常 (GOT, GPT) を認めたが, いずれも薬剤の投与中止により正常に復した。
以上のことから, ソルファ錠はスギ花粉症の予防に対して優れた臨床効果が期待できる薬剤であると結論した。