耳鼻咽喉科展望
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慢性副鼻腔炎に対するCarbocisteineの臨床使用経験
カルボシステインの臨床評価
豊田 務大角 隆男石丸 正谷内 信幸
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1991 年 34 巻 Supplement7 号 p. 555-563

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抄録

1988年10月より1989年9月までの間に厚生連高岡病院耳鼻咽喉科外来を受診した慢性副鼻腔炎患者を対象としてS-CMC (Mucodyne ®) を1日1500mg4週間連続投与し, その薬剤有効性を検討した。患者の年齢は12歳より79歳までの男性10例, 女性34例の計44例である。
ただし副鼻腔炎手術施行例, 重症例, 妊婦は対象より除外した。
1) 自覚症状の改善度では軽度改善以上は88.4%で, 鼻のかみやすさが81.8%と最も良好な改善を示した。
2) 他覚所見の改善度では軽度改善以上が54.5%で, 鼻汁の量が72.1%と最も良好な改善を示した。
3) X線所見の改善度では上顎洞陰影の軽度改善以上は52.3%, 鯖骨洞陰影の軽度改善以上は23.3%を示した。
4) 全般的改善度では中等度改善以上は20.5%, 軽度改善以上は90.9%であった。
5) 有用性ではかなり有用以上は31.8%, やや有用以上は90.9%であった。
6) 副作用は全例に認めなかった。
以上の成績よりS-CMCは慢性副鼻腔炎の薬物療法として有用な薬剤であると考える。

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