耳鼻咽喉科展望
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外耳・中耳の血管腫3症例
その臨床的検討
富谷 義徳荒井 秀一八代 利伸菊池 康隆山口 展正本多 芳男
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1992 年 35 巻 4 号 p. 289-296

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抄録

血管腫は耳鼻咽喉科領域においてしばしば遭遇する疾患であるが, 耳部 (耳介, 外耳, 中耳) に発生することは比較的稀である。今回, 外耳・中耳の血管腫3症例 (症例1: 48歳, 女性, 外耳道腫瘤を主訴とした外耳道血管腫, 症例2: 6歳, 男児, 耳痛を主訴とした中耳血管腫, 症例3: 37歳, 男性, 顔面神経麻痺を伴った中耳血管腫) に対し手術療法を行い, 全例良好な結果を得たので, 臨床的検討および文献的考察を加え報告した。
我々の検索し得た過去50年間の本邦の耳部血管腫症例は自検例を含め39症例であり, 同じ耳部血管腫でもその発生部位により臨床症状および診断・治療上の留意点が幾分異なるように思われた。特に中耳血管腫の場合顔面神経麻痺を合併することが多かった。耳部血管腫の治療に関して放射線療法は補助的なものであり手術療法が原則であると考えている。

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