耳鼻咽喉科展望
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アレルギー性患者尿由来のMS-Antigenによる特異IgE抗体の産生抑制
三邉 武右衛門小林 恵子添田 百枝三邉 武幸小島 幸枝
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1992 年 35 巻 6 号 p. 435-444

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抄録

1965年からアレルギー性患者尿由来のPolypeptide (MS-Antigen, 以下MS-A) をアレルギー性疾患の治療に用い, 治療後に皮内反応が陰性化した9例を経験した。その概要は第22回日本アレルギー学会総会に報告し,「耳鼻と臨床」に掲載した。
この皮内テストの陰性化に注目し, その究明に1987年からMS-A筋注投与によるアレルギー性鼻炎, 特にスギ花粉症の治療前後の皮内テストと特異IgE抗体価 (RAST) を追跡測定した。
S-A, 40mg, 週約2回30-80回の筋注で花粉症などの皮内テストの抗原の反応性が減少し (閾値上昇し), さらに陰性化するものがみられ, 同時に特異IgE抗体価が次第に減少し, さらに陰性化するものがあり (Down Regulation of IgE antibody), RAST scoreが1-0となることが判明した。
特異IgE抗体の産生は一型アレルギー性疾患に特異的で, このIgE抗体の産生の抑制調節は一型アレルギー性疾患療法の突破口と考えられる。MS-Aの投与によって, 一型アレルギーが関与するアレルギー性疾患の根治療法に役立つことが考えられる。

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