原発性前頭洞癌は稀な疾患であり, しかも特有な臨床所見や症状がないため前頭洞炎や前頭洞嚢胞など他の前頭洞疾患との鑑別が問題となる。早期発見に努め根治手術を行ってもなお予後不良である。
今回我々は, 原発性前頭洞癌の1例を報告する。患者は77歳女性で, 右前頭部有痛性腫脹を主訴に当科紹介受診した。鼻副鼻腔X線写真で, 右前頭洞の拡大と混濁を認めたため, 全身麻酔下前頭洞鼻外術を施行した。病理組織検査にて, 扁平上皮癌と判明し, 術後電子線照射を行った。術前診断に際し, MRIが他の前頭洞疾患との鑑別に有用であると思われた。