過去10年間に当科で手術を施行し, 術前の純音聴力検査で対側骨導値が正常であった真珠腫性中耳炎77例, 81耳を対象とし, 同条件をみたす非真珠腫性中耳炎33例, 36耳と, 純音聴力像について比較検討を行った。
その結果, 真珠腫性中耳炎の骨導閾値は非真珠腫性中耳炎に比べ, 経過が長くなるに従い上昇する傾向がみられ, また, 気導骨導閾値差も経過とともにやや大きくなる傾向がみられた。非真珠腫性中耳炎の聴力型は低音障害型が多くみられたのに対し, 真珠腫性中耳炎は水平型が多くみられた。骨導閾値が上昇した例は, 真珠腫が中鼓室に存在し, 発症後10年以上経過した例に多くみられた。