耳鼻咽喉科展望
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耳掻きによる外傷性外リンパ瘻の1例
上村 隆一郎川浦 光弘
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1995 年 38 巻 6 号 p. 724-728

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抄録

耳掻きによる外傷性鼓膜穿孔は, 臨床上しばしば経験する疾患であるが, 耳小骨連鎖障害や外リンパ瘻を合併することは比較的稀とされる。今回, 我々は耳小骨連鎖障害を伴った外傷性外リンパ瘻を経験したので報告する。症例は14歳男性。竹製の耳掻きで右耳を掃除していた時受傷した。症状はめまい, 耳鳴, 難聴であり, めまいは保存的治療にて改善したが, 耳鳴, 難聴は改善せず受傷後15日目に試験的鼓室開放術を行った。きぬた・あぶみ関節が離断し, あぶみ骨が卵円窓内に陥入していた。あぶみ骨を摘出し, 卵円窓を閉鎖し, 耳小骨連鎖を再建した。術後, 耳鳴はほぼ消失し難聴もかなり改善を示したが, 一部感音難聴が残った。

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