1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 244-250
慢性副鼻腔炎患者の口蓋扁桃, 咽頭扁桃における免疫担当細胞の分布を画像解析にて定量的に解析した。慢性副鼻腔炎例ではIgM陽性細胞やCD4陽性細胞の増加が認められ活発な免疫応答が推測されるとともに, 口蓋扁桃, 咽頭扁桃が鼻腔および口腔から侵入する外来抗原に直接接するリンパ組織として上気道の防御機能を担い, 免疫担当細胞の供給源なる可能性が示唆された。また同時に, IgD陽性細胞の増加, secretory componentの低下も認められ, 免疫抑制の状態も示唆され, 炎症の遷延化をもたらす要因と考えられた。上気道の慢性感染症は, 感染因子と上気道免疫のバランスにより発症すると考えられ, 上気道粘膜免疫は, 副鼻腔炎をはじめとする慢性感染症の病態に深く関与しているといえる。