耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
スギ花粉症に対する塩酸アゼラスチンの治療効果の検討
過去5年間のスギ花粉飛散状況と治療効果
江崎 史朗大西 俊郎橘 敏郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 39 巻 1 号 p. 111-121

詳細
抄録

我々は, 平成元年より平成5年までの5年間にわたり, スギ花粉症発症後の患者150例に対する塩酸アゼラスチン (アゼプチン ®) の治療効果について, 毎年のスギ花粉飛散状況との検討を行った。その結果, 全般改善度において, 中等度改善以上はスギ花粉の飛散が著明に少なかった年では約80%と本剤の治療効果が高かったが, 飛散の多い年では約40%と半分の改善度にとどまり, スギ花粉の飛散状況によって治療効果は大きく異なっていた。また, 柴原らによる花粉予報の基準により全般改善度を検討すると中等度改善以上は「花粉注意日」の日数とその期間に順じた改善度を呈す傾向を認め, 軽度改善以上は「花粉警戒日」の日数とその期間に順じた改善度を呈す傾向を認めた。今後, さらに詳細なスギ花粉の飛散予測が可能となれば, 今回の結果はスギ花粉症発症後に来院した患者に対して, 本剤を中心に飛散状況に応じて他剤との併用も含めた有用な治療法のプランニングに役立つものと思われた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事
feedback
Top