1996 年 39 巻 5 号 p. 567-577
1995年のスギ花粉飛散期にペミロラストカリウム (アレギサール ®) を投与した15歳以上のスギ花粉症患者166例 (男性67例, 女性99例) について, 本剤の季節前投与と治療投与の効果について比較, 検討した。
投与方法は, ペミロラストカリウム1日10mg, 分2を原則とし, スギ花粉の飛散開始 (20個/cm2/日以上の飛散) 前から投与し, 花粉飛散開始後も8週間以上継続投与した症例を季節前投与群, 飛散初期から8週間以上あるいは飛散終了日まで投与した症例を治療投与群とした。
鼻症状, 鼻鏡所見, 日常生活を点数化し, その推移をみると, いずれも治療投与群に比べ季節前投与群の方が有意に花粉飛散初期の値が低く, 季節前投与による症状抑制効果が認められた。また, 治療投与群における点数の推移では飛散初期に比し飛散中期, 後期の点数が有意に低く, 治療効果が認められた。
最終全般改善度は, 季節前投与群で「著明効果」25.7%,「中等度効果」以上69.7%, 治療投与群で「著明改善」26.3%,「中等度改善」以上50.9%であった。
安全性評価対象例における副作用発現例は, 季節前投与群で4例 (1.6%), 治療投与群で3例 (2.5%) で, 重篤な副作用は認められなかった。以上より, スギ花粉症に対するアレギサール ® の季節前投与と治療投与の有用性が確認された。