抄録
われわれは, 1995年12月より1996年3月の間に慢性副鼻腔炎症例15例28側の内視鏡下鼻内手術において, ハマー・マイクロデブリッダーシステム (ストライカー社, 米国) を使用し, その有用性を検討した。
その結果, 本システムの最大の利点は術野の血液や切除した組織を持続吸引することで内視鏡下で術野が明瞭に確保できることであった。このことより安全な手術操作ができた。また, 切除部位の術創は平滑で, 鼻甲介のトリミングが容易にでき, 嗅裂部など狭い部位の病変の切除も可能であった。欠点は吸引が時に詰まることや, 硬い骨は削除しにくく鉗子操作より病変除去に時間がかかることであった。また, 外筒の形状が直であるため屈曲した方向にある病変部位の手術操作ができなかった。
以上のことより, 柔らかい鼻茸症例や再手術の鼻茸症例の鼻茸切除, 箭骨蜂巣がよく発達していて蜂巣隔壁が薄い症例の飾骨洞の郭清が, このシステムを用いて内視鏡下鼻内手術を行うのに適した手術操作であると考える。