1996 年 39 巻 Supplement1 号 p. 117-120
近年内視鏡下鼻内手術の進歩とともに, 術前の検査として冠状断CTが重要になった。冠状断CTによって, 粘膜病変が詳細にわかるほか, 副鼻腔の解剖学的バリエーションを知ることができる。副鼻腔炎様症状を呈した54症例のCTについて, 各副鼻腔の粘膜病変の発現率につきまとめ, さらに副鼻腔炎の反復や慢性化に関連する可能性のあるagger nasi cell, Haller's cell, middle turbinate pneumatization, paradoxically curved middle turbinate, uncinate process pneumatizationなどの骨の解剖学的バリエーションの発現率を調査した。
粘膜病変は前節骨蜂巣においてもっとも多く認められた (86.0%)。骨の解剖学的バリエーションの中には副鼻腔炎の慢性化や反復に関与していると考えられるものがあり, 発現率を海外の報告と比較検討し日本人の特徴を推測した。